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​特別講演

 

8月5日(土)13:00-14:30 特別講演

[録画事前共有(日本語字幕付き)+ライブセッション(日本語への同時通訳、日本手話付き)]

[ 一般公開 ]

 

「ろう者のセルフ・アドボカシー:手話にまつわる人生の諸戦略」

森 壮也 ⽇本貿易振興機構アジア経済研究所

バイリンガリズムの第三言語(以上)の習得に及ぼす効果は、メタ言語意識の発達の伸長と関連して1960年代、日本で、ろう・難聴児の地域校での学びが始まって間もない頃に生を受けたのが講演者である。当時、聴の親はそうした子どもたちの教育についての情報もない中で必死に情報を集めたという。さらに次に生まれた妹二人も聞こえず、三人の聞こえない子どもを持った母親は本当に右往左往したことだろう。この国の異様なまでの日本語を求めるマジョリティ圧力という環境の中で試行錯誤しながら歩んで行く道は本人に何かを考えざるを得ない日々をもたらした。そうした当事者がどうコミュニケーション面での「夜明け前」を生き、セルフ・アドボカシー戦略を手話という言語への気付きと共に築いてきたかについての話である。セルフ・アドボカシーとは、子どもの権利条約第12条の1の言葉を借りると「自己の意見を形成する能力のある児童がその児童に影響を及ぼすすべての事項について自由に自己の意見を表明する権利を確保する。」という文章に込められた意味となる。また障害者権利条約で述べられている「私たち自身のことを私たち抜きで決めないで」という言葉に代表される権利主体としての当事者がその核心となる取り組みでもある。言語的マイノリティとして、社会的に障害を負わされた身体をどう生きるかの闘いがそこにはある。手話に関わる諸活動を意識的に始めた大学生活以降、そしてその後の職業生活での取り組みを中心に振り返る話をする予定である。

 

講師紹介:

早稲⽥⼤学政治経済学部卒業、同⼤学院経済学研究科終了。アジア経済研究所⼊所(後にアジア経済研究所は政府関係機関の統廃合で、⽇本貿易振興会と合併して、⽇本貿易振興機構アジア経済研究所に)、前主任調査研究員。横浜国⽴⼤学、横浜市⽴⼤学、⽇本社会事業⼤学、⽇本福祉⼤学、関⻄学院⼤学、早稲⽥⼤学等で⾮常勤講師。東京⼤学先端科学技術研究センター(福島智研究室)特任研究員。 ⽇本⼿話学会会⻑、障害学会理事。Sign Language Studies編集委員。国際開発学会「障害と開発」分科会部会⻑、「障害と開発」に関連する⼀連の研究プロジェクトを2005年以来アジア経済研究所で率いて10冊を超す成果を出版。⽶国ロチェ スター⼤学(NY)経済学部博士課程海外派遣員、⽶国カリフォルニア⼤学バークレー校Haas institute for a Fair and inclusive Society客員研究員等。

 

主要著書

森壮也編『途上国障害者の貧困削減ーかれらはどう⽣計を営んで いるのか』岩波書店(2010)(2011年国際開発学会特別賞受賞))、森壮也・⼭ 形⾠史『障害と開発の実証分析 社会モデルの観点から』勁草書房(2013) (2013年第17回国際開発⼤来賞受賞)、S.Mori & A.Sugimoto, 'Progress and Problems in the Campaign for Sign Language Recognition in Japan.In De Meulder, J. J. Murray, R. L. McKee( eds.), The Legal Recognition of Sign Languages, Multilingual Matters. Multilingual Matters, 2019、他多数。

 
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